シューベルト、私の最も好きな作曲家の一人だ。
彼の音楽はモーツァルトのように天衣無縫ではないし、ベートーヴェンのように形式美に満ちているわけでもない。
ましてやバッハのように敬虔でもない。
でも、彼の音楽は限りなく美しい。天上の音楽のようでもあるし、地獄のような音楽でもある。
(あくまで比喩です。実際に天上や地獄を信じているわけではない)
彼の曲は鋭く深く胸に入ってくる。時に心をわしづかみにされて、キリキリと入ってきすぎるので、聴くのをためらう時もあるほどだ。
ここに紹介するピアノ・ソナタ第16番D845も好きな曲の一つ。
ベートーヴェンのソナタとは全く違って、不安定な台座の上に非常に美しい彫刻がゆらゆら揺らめいている感じがする曲だ。
数枚のCDを持っていて、どれもそれぞれ素晴らいい演奏だが、一番のお気に入りはアンドラーシュ・シフのもの。彼のシューベルト演奏はどれも素晴らしい。
ただ、彼がこの曲を演奏している映像をYoutubeで探せなかったので、ここではアルフレッド・ブレンデルの演奏を紹介する。
彼のこの曲のCDは持ってないので、彼の演奏は初めて聴いたのだが、なかなか良い。(超ざっくり言うと)シフの演奏を少し派手にしたような感じかなぁ。
時には目を閉じて、シューベルトの旋律に身を任せてみては如何ですか?
週末にお楽しみあれ。